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2010年5月28日 (金)

本当は恐い下肢静脈瘤(深部静脈血栓症)

たまには本業の話をします。

専門的に診療を行っている「下肢静脈瘤」の話です。

ごくごくありふれた病気ですが、恐いことが引き起こされることもあります。

 

当クリニックで手術を予定していた方です。

それほど重症でもなく、普通に手術を行う予定で来院しました。

手術前に切開部位を決めるために超音波検査を行います(マーキングといいます)。

超音波検査を行うとビックリ!

非常に恐い合併症である「深部静脈血栓症」を起こしているではありませんか。

超音波で見るとその血栓(血のかたまり)が古いものか新しいものかがある程度わかります。

今回の場合は見るからに新しいものでした。

本人に話を聞くと、前日から脚の付け根が痛み出していたとか。。。

 

新しい静脈血栓症は治すことができます。

血栓を溶かすお薬の投与やカテーテルで吸引する方法、そして手術などあります。

今回の場合、下肢静脈瘤の根治手術(ストリッピング手術)を行う必要があります。また、安全、確実に血栓を除去するために手術方法を選択しました。

「血栓除去術」を行うのです。

 

手術は午後からの予定でしたが、すぐに連携病院に連絡を取り入院、緊急手術の手配をしました。

「先に行って入院し、手術の用意をしてもらってください。こちら(クリニック)の仕事が終わりしだい駆けつけて私が手術をします」

 

手術の操作で、できている血栓を飛ばしてしまう可能性があります。

大きな血栓が流れに乗って心臓から肺動脈に行ってしまうと、肺動脈血栓塞栓症、いわゆる「エコノミークラス症候群」です。

ひどい場合には命に関わる恐い合併症です。

その予防策として、上流に網を張って不測の事態に備えます。

一時的な下大静脈フィルターの留置です。

私が病院に行く前に循環器科の医師に依頼して行ってもらいました。

 

準備万端。

麻酔科医師に全身麻酔をかけてもらい手術開始です。

(これからは少し気持ち悪そうな写真が出てきますので、気の弱い方は見ないでください)

 

 

Img030

右上方向につまみ上げているのか下肢静脈瘤、そして今回の深部静脈血栓症の

元凶である血栓の詰まった大伏在静脈です。

 

Img029

風船付きのカテーテル(フォガティーカテーテルといいます)で取り出した血栓です。深部静脈の絵は太く描いていますが、赤黒い血栓が詰まっていたわけです。下に延びるミミズのようなものは引き抜いた(ストリッピング術)大伏在静脈です。シャーレの中のものは、大伏在静脈の中に詰まっていた血栓です。大量です。

 

Img032

手術が終わった時の深部静脈(大腿静脈)です。すっきりしました。

 

Img031

後に取り出した下大静脈フィルターです。小さなものですがたくさんの血栓が捉えられていました。このような塊が肺動脈に詰まっていくのです。作戦成功です。

 

このように、下肢静脈瘤は本当は恐い“立派な”病気です。

エコノミークラス症候群を起こすかも知れないということで(それを理由に)手術を強要するものではありません。

しかし、放置するとこのような合併症が起こる可能性はあるのです。

 

今回の治療は、当に「病診連携」が功を奏したと言えるでしょう。

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コメント

久しぶりに先生のHP拝見させて頂いてます。
以前に、○島病院にて日帰り手術受けた者です。
私の場合は10cmに満たない傷跡でしたが、重症になると、なかなか凄い物がありますね。

調子おかしい時は、何でも早期ですね。


投稿: ちいこ | 2010年6月 3日 (木) 20時13分

ちいこさん

コメントありがとうございます。
生活習慣病の診療では「サイレントキラー」という言葉があります。知らないうちに本当に恐い病魔が忍び寄っていることがあります。
どんな病気でも罹らないことに越したことはありませんが、早期発見、早期治療ですね。

投稿: Dr.T | 2010年6月 3日 (木) 22時47分

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