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2007年2月12日 (月)

臨床研究

日経新聞の記事

臨床研究8か国比較

「日本の遅れ鮮明」

患者を対象に効果や副作用などを調べる臨床研究が欧米などの主要国中,日本が最も遅れていることがわかった.

New England Journal of Medicineなど臨床研究の論文を専門的に扱う3誌について,アメリカ,イギリス,ドイツ,フランス,カナダ,スイス,オーストラリア,日本の論文数を比較した.8か国の研究者が報告した3誌の合計論文数は12,064本で,日本のものは116本で最下位.トップのアメリカは5,163本で日本は3%にも及ばなかった

主に動物実験などの基礎研究論文を掲載するネイチャー姉妹誌など4誌について同様の調査をしたところ,日本の論文数はアメリカ,イギリス,ドイツに次いで4位だった.日本の医学研究は基礎研究に強く,臨床が弱いとされる.調査はこれを裏付ける格好となった.臨床研究の弱さが新薬や新医療機器の開発力が弱い要因の一つと考えられている.

 

臨床研究はある診断技術や治療技術が本当に有効であるのかを科学的に検証することである.きっちりとしたデザインを作ってそれに基づいて評価をしていくことが大事で,しっかりした科学的検証を行っていく.そして,科学的事実=エビデンスが得られれば一般臨床に適用していくことになる.

残念なが日本では上記記事のように臨床研究に弱いということがあった.そこで,外国で有効性が証明されたものを導入し,日本で独自の臨床研究を行った上で一般臨床に取り入れてきた.このようなやり方では,外国から輸入しなければならないという手間(無駄?)が必要でいろいろな面で負担にもなる.

例えば,最近では一般的になっている大腸癌治療薬(抗癌剤)の「オキサリプラチン(エルプラット)」.日本で開発されたらしいが,ほとんど注目されずアメリカへ.そして欧米での臨床試験で有効性が認められ普及した.日本には患者団体などの要望もあり,最近になって厚生労働省が急遽承認したというものである.

臨床試験はⅠ~Ⅳ相にわたって行われる.

Ⅰ相試験:健康人を対象に薬物が体内でどのように代謝され,どのような影響を及ぼすかを見る臨床薬理実験.
Ⅱ相試験:一定数の限られた患者に投与し,副作用の有無を調べる探索的試験.
Ⅲ相試験:Ⅱ期で有効性が確かめられた後に,多数の患者に対して本当に有用かどうかを確かめるもの.Ⅲ期が終わり有効であれば,そこで発売が認めらる.

しかし,臨床試験はそこでは終わらずⅣ期がある.実際に臨床の場で使用されて本当に効果があるかを確認するものだ.

大規模臨床試験とは科学的根拠を得るための試験である.最近ではEBM(Evidence Based Medicine)ということばが良く使われる.大規模臨床試験を円滑に進めるには多数の症例が必要になる.調査方法(プロトコル)の違反例が出たり,データが十分に得られないといったことを解決しなければならない.それにより初めてエビデンスのレベル=事実が明らかになってくる.

 

Googleで大規模臨床試験というキーワードで検索すると,メビックスという会社がヒットした.

CapToolという臨床試験支援システムを開発している.
私は基礎研究は行ったことはないが,薬剤の市販後調査には参加したことはある.提供したデータがどのように使われていたか知らなかったが,このようなシステムを使って解析され,エビデンスの一部になっていたのだろうか.

ちなみに,この会社はもの凄い成長をしているようだ.
テクノロジー企業の成長率ランキング「第4回 日本テクノロジー Fast50」で,なんと2,898%という成長率だったらしい.

日本では臨床研究が劣っているという記事であったが,力を入れている企業があり急成長しているということは心強いことではないか.

企業のことはよくわからないが,自治体や病院が「ヒーヒー」言っている時代に2,898%の成長とは大したものである.肖りたい.

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